自分のユニットに水漏れの原因があり、かつ、自分に過失があった場合を想定して、被害に対する損害賠償がどうなるか、考えていきます。
お金がかかるポイントは以下のようなものがあります。
5番目の「その他」というのは、たとえば、被害ユニットの住人が修繕工事の期間中、一時的に別のユニットやホテルなどで生活せざるをえなくなった場合の、家賃や宿泊費、交通費などです。
金額については、もちろんケースバイケースですが、軽微な損害のケースでも10万円程度、重大なケースでは100万円単位、築年数の浅い高級物件であれば1,000万円を超えても不思議はないでしょう。
もちろん、上記4番目の「精神的被害に対する慰謝料」や、5番目の「その他」については、かならずしも支払う義務があるとは限りませんが、支払わないことで示談・調停・裁判といった法的トラブルになることもあり、それらについてかかってくる費用もかなりの額になりえます。
ただし、施行の不備や共有部の経年劣化など、管理会社・管理組合の責任に帰される部分がある場合は、その分だけ賠償責任は軽くなります。
賠償責任を問われる金額の大きさを思うと気が遠くなりますし、すべて自分で払わなければならないと知ったときの絶望感は想像を絶します。
「そのとき」にそなえた保険はないのか、ということですが、あります。
分譲でも賃貸でも、管理会社・管理組合はかならず水漏れ事故による損害をカバーする保険に入っており、管理の部分で賠償責任を問われた場合はその保険金を補償に当てています。実は、水漏れ事故やトラブルというのは、集合住宅ではいちばん多いと言っていいくらい頻度が高いのです。火災や地震、風水害よりも頻繁なので、管理会社・管理組合にとって、水漏れトラブルに対する保険に加入するのは必須と言えるほどです。
個人でも入れます。水漏れに特化した保険というのはあまり見かけませんが、分譲・賃貸の契約にセットされていたり、個人でかける火災保険などの損害保険でオプションになっていたり、中には自動車の任意保険のオプションでカバーしている場合もあります。
ただ、保険に入っていれば100%安心かというと、そうでもないこともあるので注意が必要です。
ほとんどの場合、保険がカバーするのは上記の1番目から3番目までで、3番目の物損補償については「時価計算」で金額が決まります。家具やパソコンなど、買ったときの金額ではなく、少しでも古くなっていたら、その分だけ減額された補償金額になるのです。
「慰謝料」や「その他」部分はたいていカバーしませんので、その部分で被害者とのトラブルにいたる可能性は残ります。
やはり、自分の過失で事故を引き起こすことのないよう、気をつけるのがいちばんですね。