水漏れを予防し、あるいは修復するための対策にはさまざまなものがあります。水漏れしたパイプや部材をすべて取り替えるよりも少ない手間で、安上がりに、短時間で問題を解決できる方法もたくさんあります。
ここではそうしたさまざまな水漏れ対策を紹介します。「こういう選択肢もある」ということを知っておけば、たいへんお得です。
もっとも簡単・手軽なオプションとしては「テープ」があります。「テープ」といえばセロテープやガムテープがまず思い浮かびますが、水漏れ対策の世界ではそれらよりもはるかに強力なテープが使われます。
「補修テープ」、あるいは「止水テープ」は、パイプの亀裂や穴をふさいだり、つなぎ目の防水性を高めたりするために巻きつけるテープを指す総称です。補修テープとしては、自己膨潤テープや自己融着テープがよく用いられます。
貼り付けると自発的に膨潤(ふくらむ)し、物体同士の間のすき間を埋め、気密性・防水性を高めます。建材間のすき間を埋めるコーキングにも使われますが、たとえば「シールテープ」と呼ばれるものはパイプとパイプのつなぎ目で用いられます。
ふつうに金属と金属の雄ネジ・雌ネジのねじ込みでは、よほどの高精度ネジでない限りは気密性・防水性に限界があります。そこでシールテープを、これからねじ込もうとしているパイプ端のネジ山に巻きます。それからねじ込むと、シールテープの素材がネジ山・ネジ溝のミクロのすき間を埋め、完璧な気密性・防水性をあたえます。
パイプなどに巻きつけると、テープとテープが重なった部分が自発的に融けてから一体化するテープです。テープとテープが「溶接」されるわけです。
ブチルゴムという石油を原料とする特殊な合成ゴムからできています。ふつうのガムテープのようなロールで売っていますが、その状態ではテープとテープの間に「融着」を防ぐごくうすい膜が張られています。使用するとき、引っ張って2~3倍に伸ばしてやると、その膜がちぎれてブチルゴム同士が直接触れあうようになるので、この状態で巻きつけると、接着剤を用いていないにもかかわらずテープの表と裏が密着し、一体化します。
ブチルゴムは耐老化性、耐水性にすぐれ、高い電気絶縁性もあります。気体の透過性も非常に低いため、タイヤやタイヤチューブにも使われます。このような特徴のため、パイプの亀裂や穴をカバーする用途にも最適です。
粘着力によって防水性を発揮するという点ではガムテープと同じ発想ですが、粘着力・強度はガムテープよりずっと強力なものがあります。
たとえば「ダクトテープ」。アメリカで1930年代から、腐食防止や絶縁のために使われはじめた耐水テープです。アヒルの身体のように水をはじくことから「duck tape」が語源になっており、戦後になって配管(ダクト)の工事に使われるようになったことから「ダクトテープ」の呼称が定着しました。
「アルファテープ」というものもあります。漏水箇所や漏電箇所に巻くテープで、防水性、絶縁性にすぐれています。