水漏れリスクがいったいどれほどあるのか、感覚をつかんでいる人は少ないことでしょう。ここでは参考までに、水道管の寿命について紹介します。
まず、水道供給元から各家庭まで、街中の地中に埋設された水道管についてです。
だいたい50年ほどは持つようになっています。しかし、明治時代初期にさかのぼる日本の水道の歴史からすると、かなり多くの水道管が早急に更新されなければならない状況にあります。
2016年11月に、博多の駅近くで突然道路が陥没し、人びとを驚かせました。その原因は地下水道管の破裂でした。漏れた水が周囲の土砂を削り、空洞を作って陥没をまねいたのです。
東京都区部だけでも、水道管の総延長は地球を半周するほどの長さになります。耐用年数を超えて使用中の管も相当あり、博多と同じようなことが、いつどこで起きても不思議はないというのが現状です。
幸いなことに、短期間・少ない手間で水道管の補強が行える新技術があります。「オメガライナー」という管を用いて既存のパイプの内側をライニング(層をつくって補強する)する方法です。形状記憶特性のある特殊プラスティック製のチューブを古くなった水道管に通し、高温・高圧の水蒸気を吹き込むとチューブが円形の形状を取り戻して水道管の内壁に密着して固化するというものです。パイプに通すときの断面形状が「Ω」に似ていることからその名がつけられています。従来工法では1週間かかる水道管交換工事が、わずか半日で済むようになるとされます。
一般家庭内の水道管についてはどうでしょうか。
通水する水の水質、水圧、パイプの肉厚によりちがいが出てきますが、おおよその目安としては、
やや古い鋼管だと20年ほど
塩化ビニル管(PVC管)だと30年ほど
鋼管の内壁を樹脂でコーティングしたライニング管だと50年ほど
持つようになっています。
一戸建ての木造住宅の寿命が約30年とされますので、ライニング管以外は住宅よりも寿命が短いことになります。鉄筋コンクリート造のマンションだともっと寿命が長くなります。
したがって、築年数のかさんだ家、あるいはマンションに住んでいるならば、耐用年数を超えた水道管をかかえる可能性があります。水回りのトラブルに対する覚悟とそなえは、必要と言えるでしょう。
おおよそですが、数年に一度は、水回りになにかしらのトラブルがあるものと思っておいて良いでしょう。